かんのれあ
「……何考えてんの!?」


あの二人が、ここの会話が聞こえない所まで離れたと思われる頃、

山崎さんが怒りを込めて口を開いた。



「色々です。
今更あとには引けないし、
鏡華さんには負けたくありません」


すると、山崎さんはしばらく黙り込む。


あたしは相変わらず鏡華さんたちが出て行った扉を見つめていたので、

山崎さんの変化に気づいていなかった。




「…いい加減にしろよ、お前」




あたしの背筋を冷たいものが這う。

突然、山崎さんの声が地の底から捻り出すような声になったからだ。



見上げると、そこにはいつだかと同じ、

山崎さんの血のない、冷え切った目。
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