かんのれあ
「誰もテメェの気持ちは聞いてねんだよ。
勝負とか負けたくねぇとか、競争するのは当たり前。

けど、てめーらのは競争じゃなくてゲームだろ?
俺はそんなお遊びに付き合いたくて編集やってるんじゃねぇんだよ。
勘違いすんな!」



―――あ。



そこであたしは思い出す。


河野さんが、"編集にも競い合いがあるんだから"って言っていた事を。


あたしは、いくら気に食わない事を鏡華さんに言われたからとはいえ、

山崎さんに対して何て失礼な事をしてしまったんだろう。



でもでも、


勝負を投げたら、勝ち負けだけじゃなく、

あたしは、河野さんを不安にさせたままになってしまう。



あたしは色んなものをもらったのに、

河野さんにとってのあたしは、

ただ"迷惑かけただけの作家"になるなんて、それだけは絶対嫌だ。



"これからも頑張れます。頑張ります。

今まで不安にさせてばかりで、ごめんなさい。"



それを言葉じゃなくて、態度で、結果で、示したい。

あたしにとってはゲームじゃない!
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