かんのれあ
すると、無彩色だった山崎さんの目に、

ほんの少しだけ、色がついた気がした。


そうして、そのまま重い口を開く。


「……わかった。約束だぞ。俺は一切手伝わない。
作品もお前一人で新しいの考えて書け。

ただし、これでずっこけたら容赦しねーぞ。

いくら一人で頑張ろうと、
俺がお前の担当である以上、失敗した時に困るのはお前だけじゃないんだかんな!」


「わかってます。
いい加減な気持ちでは、臨みません」



河野さんが"縛る"優しさだとしたら、

山崎さんは"突き放す"優しさなんだろう。



時々、自分の未来のためだけに頑張るのが辛くなる時がある。

だから山崎さんのこの言い方は、あたしの背中を押してくれる。
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