かんのれあ
「マジで??あーそうだったの~?

それは悪い事をしました、ごめんなさい」


そう言いつつ、電話越しに聞こえる声は楽しげだった。


なんだか喜ばせてしまったらしい。


あたしはその様子がおかしくなってしまい、「いえ」と言いつつ笑いをこらえた。


「まあさ?俺も言い方キツかったのは認めますよ。

でもかんのさんも、俺の言ったことは受け止めてほしい。

これ、主人公の設定だけみればシリーズでも十分通用する面白さだから、

俺の言った事を頭に置いて、もっと丁寧に練って下さいよ」


「へ??」


全くダメダメだと思っていたので、突然河野さんから出た褒め言葉に、

あたしはまともな返事で返す事ができなかった。


「いや、だからさ、昔色んな評論家に叩かれに叩かれて、今では小説家やめて携帯小説でほそぼそ活動してる主人公でしょ?

このプロットの何がいけないかって、設定が生かされてない事ですよ。

だから、他の設定も取ってつけたようになっちゃってる。

主人公の設定だけでも十分凝ってるのでー……そうだなぁ、

例えば昔自分を叩いた評論家の息子に恋しちゃうとかだと、設定が生きてくるんじゃない?」
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