委員長が泣いた日(短編)


目を見開いて状況を確認しようとするけど、ドキドキという心音が気になり過ぎて頭の中がごちゃごちゃだった。

唇が離れて、委員長の目を見る。

「い、ま……キスした?」


後から何されたか気付くって本当だったんだ。
そんな風なことを思いながら唇を指で触った。


「なんで!?」

キスってそんな簡単なの!?付き合う付き合わないの過程を踏んでそれから色々あってワーッてなって!!

いいの!?

委員長は罰の悪そうな表情を浮かべて「ごめん」と謝った。

待て。よく考えたらファーストキスではないか

今だ火照る頬を押さえて下を向いた。

「……嫌じゃなかったよ」

ドキドキはしたけど、嫌なんて一度も思わなかった。

「委員長は?委員長は嫌だった?」
「え!?……嫌とかじゃなくてしたくてしたから……」

墓穴を掘ったとばかりに委員長の顔はさっきよりも赤くなった。

「そっか。ならいいや許す。というか一瞬だったからよくわからなかったし」

ヘラッと笑うと委員長の顔が険しくなった。

「それってアンタの中で今のキスは無かったってこと?」





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