【完】スマイリー☆症候群



「……くそっ」


舞い上がる砂埃に混じり、山田の声が小さく漏れる。

それから山田は拳に力を込めると、少しずつ立ち上がり前を見据えた。


「山田ーっ!」

「山田くん!」

「行けェ、山田!」


奴がもう一度走り出したその瞬間、グラウンドを取り巻く山田コール。

怪我をした筈の脚を懸命に上げる山田に、皆の心が1つになったのだ。


「頑張れ、あと少しだぞ山田!」


そんなエールを、俺も皆と一緒になって叫んだ。


「望月ー!」

「山田ー!」


パシッっと響く音と共に、次の走者である望月にバトンが渡る。

前を走る生徒達をジッと見る望月の眼は、いつもとは打って変わって真剣そのもの。

まるで、獲物を捕らえるハンターのような鋭い眼だ。


< 230 / 314 >

この作品をシェア

pagetop