太陽はいつも雲の上で照り輝いている
《十章》太陽となる父の想いと残された形見
明くる日

検査の結果、お母の病は、胆管と膵管の合流異常と診断され、これは、場合によっては、胆嚢癌に変わる可能性がある病気だった

『お母様の場合、できましたら、胆嚢摘出と、膵管と十二指腸を繋ぐバイパス手術をされた方がいいかと思われます』

『それは、確実にしないといけないのですか』

『今のままですと、嘔吐は頻繁にあるかと、また、なりやすい病気の予防として、手術した方がいいかと、約8時間を要しますが』

『家内と話して、考えてみます。心臓が持つかどうかも気になりますので』
 

『わかりました。できるだけ早くに検討、ご返事ください。』

僕も、まゆも、心が縛れる強い痛みを感じた…

どうしたら、いいのか、お母に何を話せばいいのか迷ってしまう

『父さん、私、手術したくないけど、それで、スッキリするなら手術します』

『……』

迷う事も、一瞬にして消え去る、お母の決断

『お母が、そう思うなら、わしも一緒に戦おう大丈夫や』

初めて、お母が倒れ入院し初めて手術したあの時と変わらない2人の会話

僕は、いつしか、こんな時なのに、まゆとも、こんな夫婦になりたいと思う時間だった


運命の時間は、静かに足音を立てて近づいてきた……
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