【完】最後のバレンタインチョコ
次の日の放課後。

誰もいなくなった教室で沙耶から渡されたのは、丁寧に包装された小さな箱。



「これ、俺に?」



「んだ。
中、あげでみて?」


俺は包装紙を破かないようにそっと箱を開いた。

中に入っていたのは見たことがある三日月型の煎餅の耳。

だけどいつもと違ったのはそれが黒かったこと。


「何これ?
チョコ?」



「んだ。
手作り煎餅耳チョコ」


「え?
それじゃあ……」



「分がらないがあ?
……わも隆二が好きだよ」


そう言って顔を赤らめて笑う沙耶はとっても可愛かった。


俺はぎゅうっと沙耶を抱きしめた。


「沙耶、大好き」




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