晴天

サエと楽しそうに話していたシュウが、ミサの方を向いて歩いてきた。そこまで席が離れているわけじゃないのに、待っている間の時間が、とても長く感じた。
「えっと、美紗ちゃん？」
「はい。」
「俺、脩って言うの。よろしくな」
ユウヤと変わって、声が少し大きくてちょっと背が低め。見かけわ不良っぽいが中身わ優等生じみたタイプっぽいのが、目が痛いほど分かる。
「美紗ちゃんは、好きな子いる？」
ユウヤと同じ質問。なんで男子って言うのは、好きな人を知りたがるのだろうか…。
「…いません」
「そっか～。じゃあ、俺と付き合ったり出来ちゃう？」
「ハイ？」
同様のせいか、声が裏返って、思いもしない大きな声で叫んだ。教室に響き渡るミサの声。クラスに皆が、ミサの方を向いて、ビックリしている。
シュウは机の上にねっころがり、おなかを抱えてゲラゲラ笑っていた。
「ミ…美紗ちゃん……そこまで…大きな声…出さなくっても」
シュウわ笑いをこらえて必死に言葉をかけてきた。恥ずかしい…クラスの皆がミサを見てる。
「シュウ…さん。ミサは、付き合えません」
「なんで～？」
「どうしてもです。」
「俺、どっか悪い所でもでもある？なぁ、ちゃんと俺の顔見て。本気だから！」
シュウの顔を見た。今にも泣き出しそうなウルンだ目で、ミサを真直ぐに見ている。でも…
「ごめんなさい。会ってすぐだし。お互いの事、あんまりよく分からないんで…。」
「お互いの事、分かり合うために付き合うんじゃないかな？」
「でも、ミサの考えわ違うんで。ごめんなさい」
「でも俺わ…」
「お取り込み中すいません。」
シュウが離している間に、割って入って来たのわ後ろに居たシュウより３センチぐらい背の高い男子だった。
「シュウ？この子、嫌がってるじゃろ～が。女の子に、そこまでしてすがりつきたいんか？」
「…浩平には、分からんよ。俺の気持ちなんか。」
あそこまで声が大きかったシュウが、ちょっと小さく、そして悲しそうに見える。
なんだか、悪い事をしたような気分になった。