%短編:侵された体%

「いやああ!!」


自分の悲鳴で夜中に目を醒ましたことなんて、

ただの一度もなかった。

それなのに。


「ハアッ、ハァッ」


握り締めた拳だけじゃなく、

全身にびっしょりとかいた汗が不快だ。


なんなの?

一体、なんでこんな夢見るんだろう。


その日から、あたしは毎晩毎晩、同じ夢にうなされるようになった。

ううん、寝ているときだけじゃない。

起きているときでも、

まるで白昼夢のように、頭の中で声が響く。


内容は、決まって同じ。




体を、

返せ。





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