溺れた愛のシルシ
「りっくん…。」
「ごめん、来ちゃった。」
ごめんといったりっくんは、なぜか笑っていて。
あたしはその笑顔に吸い込まれた。
「ま、待って、今着替えるから!」
またお母さんにからかわれながら、着替え終わったあたしは外へ出た。
「どうしたの?いきなり…。」
あたしたちは行くあてもなく、適当に静かな道を歩いていた。
「べつに~。」
「なんで家に来たの?」
「ん~?ずっと那奈んちにいたから。」
「嘘ばっかし…。」
「あぁ、ばれた?」
ハハハと笑って、
左手で頭を掻く仕草をりっくんは見せた。
「バレバレだよッ。」
あたしは軽くりっくんを叩いた。
だけどその叩いた手はあたしの言うことを聞かずに、りっくんの手に縛られた。
「ほんとはさ、最後の一言聞きに来た。」
「え?…」
「なんだったっけなぁ~...『りっくんのこと、世界で一番スッッ…。』だったっけ?」
「や、あの、それはそのぉ…。」
あたしの腕をつかんでいたりっくんの握力は、だんだん強くなっていって、
「早く続き教えてよ。」
透き通った目つきであたしを見つめる。
「ヤ・・・ダよ。」
そんなの恥ずかしくて言えるわけない。