溺れた愛のシルシ
「ど...して?」
あたしは膝に置いていた手を、
照れ隠しをするように頭に置いた。
「俺...。まだ何も知らないから…。」
彼はそういいながら、
どんどん距離を縮めていく。
あたしは驚きが先行して、
そこから動くこともできなくなっていた。
「あのっ...。あたし、まだ名前...。」
「そっか…ごめん。俺は京汰(キョウタ)」
京汰くんは一度立ち止まったけど...。
すぐにまたあたしに近づいて、
もう、定規で測れるくらいの距離。
「俺、那奈ちゃんのこと...好きになっちゃった。」
「え…。」
「那奈ちゃんは俺のこと...。好き?」
「好...き...? だよ...。」