Escape ~殺人犯と私~
キッチンに居る少年が、私達の様子を伺うように視線を向けるから
余計な事は言えない。
「私は見れないけども、彼は容姿も素敵な気がするわ。」
目が見えないお婆さんの言葉に、私が「はい」と、うなずいた時
少年がキッチンから出てきた。
「綺麗で優しいだなんて、モテて大変そうね。」
私は、お婆さんの会話に合わせてうなずいた。
悔しい位にカッコイいから、否定なんて出来なかった。
「朝食の用意が出来ました。」
少年はソファーのすぐ後ろにあるテーブルに食事を並べながら、私達に声を掛けた。
お婆さんが返事をしてテーブルの椅子に腰掛けたので
私も怪しまれないようにテーブルに向かった。
私は、少年をDV彼氏のように思い
怒らせないように気を張っていた。
4つ有る椅子の内、私はお婆さんの向かいに腰かけると
少年はお婆さんの隣の椅子に座る。
「お婆さん、今朝は和食ですよ。」
少年は、お婆