Escape ~殺人犯と私~
考える間もなく私は気づく。



彼は私から奪った携帯のメールを、勝手に読んだんだ……。



あの携帯は、半年前に、私の親が出て行くと決まった時に機種変してもらったもので

私は頻繁にメールするタイプじゃないからから

親が家を出て行く頃から今日まで、半年近くのメールが消えずに残っていた。



だから、受信メールを古い順に開くと、親からの酷なメールが目に留まる。



こうなる前に削除すれば良かったんだけど、

親の事を吹っ切る事が出来なかった私には、メールを削除出来なかった。
と親との状況も、私と彼氏との状況も

少年はもう、全てを知ってる。



さも当然のようにプライバシーを侵害された事に、私は激しい憤りを感じる。



酷過ぎる……。



怒りと悔しさがこみ上げてきて、その勢いで私はキッチンに足を踏み入れて、少年へと歩み寄った。



「……知らない人に……こんな事される筋合いない……」



偽善者とか、よく分からない言いがかりつけられて

脅されて拉致されて侵害されて首絞められたんだ……。



「筋合い無い?俺の筋は通ってるけど。」



少年は頑なに私の意見を否定
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