Escape ~殺人犯と私~
怒らないであげて…?緋央さんさえ良ければ、いくらでもゆっくりしていって?」



孫のように接してくれるお婆さんに、私は複雑な気持ちで頷いた。



そんなお婆さんは、一人暮らしだから乾燥機を置いてなくて

私の制服はいつ乾くか謎だった。







何だかんだで居座る事になり

お昼を済ませて、おやつを食べながらテレビを観るという、ぐうたらな日中を過ごしていた。



少年はお昼も食べずに、脱衣場の向かいの部屋で勉強していた。



でも正式には、勉強するという口実を作って部屋に籠もっているだけだって分かってる。



だって、私が少年の荷物を漁った時

カバンの中には勉強道具なんて見当たらなかったから。



何してるんだろう……



気になり始めると、彼氏のDVの時と同様に、怖い想像ばかりしてしまって

テレビなんて観てる所じゃなくなる。




小さな寝息が聞こえてきて、私はソファーの隣を振り返ると。


お婆さんが眠っている事に気が付いた。




年をとると体力が無くなり、眠る時間が多くなってしまうのかも知れない。



元から話が得意じゃない私は、少年の影に恐怖する反面

お婆さんに、私情を聞かれないかドキドキしていた。



嘘は苦手だから気を張っていた。



ようやく、気を緩める
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