Escape ~殺人犯と私~
止まった。
次の瞬間
パニック状態だった私は、勢いで告げた。
「 トイレ!!!! 」
唐突に思い付いた、全く関係無い言葉を口にして
少年が止まった隙に、リビングを飛び出た。
リビングの曇りガラス越しに
少年が私を追って、立ち上がったのを確認した。
まるで、殺人オニごっこをしてるのような、恐怖と焦りを覚えた私は
とっさに少年の部屋に閉じこもり
鍵を掛けた。
意味不明にトイレと叫んで、鍵のついた部屋に籠もるなんて
我ながら、相当ふざけた行為だと思った。
オニである少年を逆上させるだけだと、気付いた時、既に遅し。