Escape ~殺人犯と私~
今更鍵を開けて


部屋とトイレ間違いました……。



なんて、出て行ったら即死覚悟。




どうしたら良い?




混乱したチキンな私は、両手足の震えを必死に抑えながら、ちっさな脳で考える。



だいいち少年は

私が何に「気付いて」逃げようとした」と思ったんだろう…。



偽善者呼ばわりされて首締められた理由も、

いまだに分からない。




不意に顔を上げると、さっき部屋に来た時のように

衣装ハンガーが目に留まった。



そこに有ったはずの生徒手帳入り学ランは

今少年が着ているので、無くなっていた。



もしかしたら、私が生徒手帳を見た事がバレたのかも知れない。



終わった……。



絶望を感じながら

私は室内にある独り掛けソファーの上に、自分のカバンを発見した。



クローゼットに入ってたはずの私のカバンは、各教科のノートが出された状態で

ソファーの上に放置されてた。



少年は勉強するって言って、私のノートを見てた訳……?



疑問を覚えた私は、ドアの鍵が閉まってるのを確認して

ソファーの上にあるカバンに歩み寄る。
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