Escape ~殺人犯と私~
勉強をする為に持ってきたらしい、折り畳み式のシンプルなテーブルの上に

私が今日の授業で使うはずだったノートやメモ帳が、開いて置いて有った。



それらの手前に、何故か私の手袋と、ノートの切れ端が1枚あった。




その切れ端には

私の文字で、見覚えの無い単文が綴られていた。



その紙を手に取った。



薄暗い室内では、紙を近付けないと文字が読めなかった。




『死』




そんな文字が見えた時、私は青ざめた。




『親に捨てられたし、彼氏にも疲れたので、死にます。』



こんなの……私は書いてない。



でも、これは間違い無く私の字だし



私がメールでよく使ってる、私らしい淡々とした言葉使いだった。




少年が、勉強と偽ってノートから私の筆跡を練習して

私の遺書を書いたんだ。


ペンに指紋が残らないように私の手袋をはめ
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