Escape ~殺人犯と私~
もう……充分苦しいのに……。
体が震えて止まらない私に
少年は制服の内ポケットから私の携帯電話を取り出して
私の前に立ったまま、落とすように投げてよこしてきた。
私の太ももの脇に落ちた携帯に、刃物でも落とされたようにビクビクしてい
もう……充分苦しいのに……。
体が震えて止まらない私に
少年は制服の内ポケットから私の携帯電話を取り出して
私の前に立ったまま、落とすように投げてよこしてきた。
私の太ももの脇に落ちた携帯に、刃物でも落とされたようにビクビクしていた私は
怯えて蒼白になった顔を上げる。
私にケータイを取れと言ってるのか
少年は無表情のまま、私の行動を待っていた。
私はすぐに、震える片手でケータイを拾って、画面を開いた
パッと、眩しく光った画面に眼を細め
光に慣らしながらゆっくりと開くと
メール画面が開かれていた。
少年に奪われている間に受信した、私の彼氏からの新着メールだった。
その内容を認識した途端
私は目を疑った。
【なめてんのか?】
怒りを表す件名に、生理的に鳥肌が立ち、背筋がゾっと