Escape ~殺人犯と私~
私は元から暴力メインの非日常的な生活を送ってきたからか

まだその暗示にはかからないと思う。



こうして、普通の精神状態を保っていられるのは

彼氏みたいに、殴られたり性的暴力をされてないからだ。



この生活の方のが体的には楽だと思ったこの感情は

既にストックホルム症候群なのかもしれない。



でも、刃物で脅して拉致するような犯罪者を好きになるくらいなら

やっぱり死んだ方のがましだと思う。



手首の痛みにじっとしてられず

ベッドから起き上がろうとした時。



布団のかかっている足元で、ジャラッ。と音がした。



更に、鉄のようにひんやりとした感覚がある事に気付いた。




何……?




嫌な予感がして、慌てて布団をまくってみると


右足首に鎖が巻かれていた。



この鎖は立ち入り禁止に張られるようなごく普通の鎖で

ここはビルだから、どこかから引っ張り出してきたのだと思う。



足首に巻かれたうえ、南京鍵で留められて

簡単に外せなくなっている。



鎖の繋がる先はベッドの脚だった。



ベッドも立派なもので、女ひとりの力では持ち上げる事は出来ない。



本格的に監禁された私は、とり
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