新月の夜
かさないで。」


車の中。運転席には義人、助手席には未亜。

「ここでいい。」
「何で?」
「家まで来られると困る。」
「頑固だね。」
「そうよ。」

義人は車を止めて、未亜にキスをする。

「……。」
「合鍵渡しておく。」
「口説いてるの?」
「好きじゃないと寝ない。」
「脅してまでする?」
「未亜こそどうしてナオキの正体オレに聞いた?」
「気ままよ。」
「他の人は知らなかった。」
「聞いてくれて嬉しかった。」
「遊び人。」
「未亜に会ってから作ってないとしたら?」
「駆け引き上手ね。」
「いつでも家に来い。」
「……。」
「来る時はそれなりに体の準備をと。」
「…そう言って来るとでも?」
「いつでも待ってる。」


未亜は帰る。

「おかえりお姉ちゃん。」

あさみが迎える。

「お姉さん、お邪魔してます。」

ナオキもついている。未亜は、

「…来てるのね。」
「?」

未亜の素っ気ない態度に、

「いつもは睨むくせにおかしいぞ。」
「…絡みたくないだけ。一人にさせて。」
「……。」

おかしい。あさみとナオキは見つめ合う。いつもはあさみに抱き着くのに。


未亜の部屋。全身の見える鏡。裸。赤いしるしが点々と。

「…どうしてつけるのよ。消えるまで相当かかるし、薄着できない…。」

ベッドに寝込む。あさみは心配して、

「お姉ちゃん?」

入る。

「寝てる。」
「?」

あさみは鍵を見つける。

「どこの鍵?」

触れる。

゛Yoshito.T゛

「…男の人の名前?お姉ちゃん?」

かすかに寝言。

「よしと…。」


それから未亜と義人の逢瀬が始まる。

「来たんだね。」
「…あなたが待ってると言うから。」
「名前で呼んで?」
「義人…。」
「体の用意できてる?」
「…抱けばいいわ。」


「あ…!?はぁ〜ん!!」

未亜の悶える声。

「よし…と、義人ぉ!?」

依存していく。


ぐったり。義人は未亜に甘いキスをする。

「……。」
「これにキーを通せ。」

ペンダント。

「何?」
「未亜はオレのもの。」
「……。」
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