オチビな理由


『お前、ホント変わらねぇのな。オチビちゃん』


 偶然高校が一緒になって、小学校以来5年ぶりに再会した孝太先輩は、口を開くなりそんなことを言った。
 そのときは何を言われたのかわからなかったけど、次の日からあたし=オチビちゃんになっていたのだ。
 理解したとたん、あたしは悔しいやら恥ずかしいやら、ゆでだこのように耳たぶまで真っ赤になったことを覚えている。
 こっちは牛乳やらニボシやら、背が伸びると噂の食べ物は一通り試して、身体検査で0.1センチでも伸びていれば歓喜しているというのに、あの縦長の性悪孝太先輩は1年に10センチは伸びるという。ヤシの木か、馬鹿馬鹿っ。


 劣等感を持たされるのは苦手なのだ。
 きっと誰もがそうだけれど、あたしはたぶんそれに関してかなり重症。
 おてんばに育ってきたからなのか、特に男の子には馬鹿にされるのも低く見られるのもイヤ。特に……孝太先輩には。

 だって…イヤなものはイヤ!だからあんな呼び名であたしを呼ばないで。





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