特等席
着替えが終わり、彼方が待ってるリビングに行くと彼方は朝ごはんを食べていた
もちろん、ここはあたしの家であの朝ごはんも我が家の朝ごはんだ。
「日向、おせーよ。先食べてる」
「毎日先食べてるじゃん。お母さん、あたしも朝ごはんちょーだい」
毎朝、あたしを迎えに来る彼方は、こうして毎日我が家で朝ごはんを食べている
それが当たり前だし、違和感なんてない。
ただ、あたしよりはるかに食べるから早く来ないとあたしの朝ごはんがなくなる心配がある。
それだけは、勘弁だ。朝ごはんを食べずに学校になんて行けない
「日向、それちょーだい」
「彼方はもう食べたでしょ?」
彼方が狙ってるのは、あたしの皿にある卵焼きだ。
彼方は我が家の卵焼きが大好物らしく、毎日お母さんがうれしそうに作っている。
「いやー、食ったけど卵焼きが見えたらまた食いたくなるな」
「卵ばっか食べてると体に悪いからやめとけば?」
「大丈夫、すぐ消化するから」
だから早く、って意味なのか。
「しょーがないなー。あげる。」
「さすが日向!」
そんな嬉しそうにされたら、あげてよかったって思いますよ。