特等席




朝ごはんも食べおわり、学校に行く時間





「日向、乗れ」



「はいよー」





毎朝、毎日、彼方は私を自転車の後ろにのっけてくれる。





これは中学からで、雨のときや体調不良のとき以外は毎日、毎朝だ。





「毎朝悪いねー」



「もう慣れた。お前の重い体重に(笑)」





失礼だな(怒)





「で、朝の続き。彼女の話はもういいの?」



「あー、よくない。よくない。」





学校までの20分、たいてい話をするのが彼方で、私は彼方の話を聞いている。





今日は彼女の話だけど、たいていは昨日のテレビとか部活の話とかそんな話。





「で、結局さ、彼女のこと好きじゃないわけ?」



「まだわかんねーけど、それでもいいって言われたからさ。ならいっかなって」





彼方の話によると、昨日部活の終わりに呼び出されて告白された。



彼方が返事に困ってたら、相手が今は好きじゃなくていいから、だんだん好きになって欲しいみたいなことを言って彼方が受け入れたのか。





「毎回同じだね、彼方さん」



「んー?まあ、大丈夫だろ。」





彼方に彼女ができたときに聞く話は毎回同じ





彼方に告白してきた子が好きじゃなくていいと言って彼方がそれを受け入れる。





彼方は優しいから、そんなこと言われたら絶対に断らない。





だから告白する女の子は同じようなこと言うのかな?





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