治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
私を抱く腕が震えていた。
本当に怖がっているのだろう。
私が犠牲になる。
私は今彼のそばにいるから、あくまでも想像上のことなのに。
「シブリールさん……」
何よりも恐れを抱く彼は私のためだと手を引いた。
「行こう。聞きたくないことは耳を塞げばいい。見たくないことは目を瞑ればいい。
あの子のことなどどうだっていいだろう。君も自分の身が可愛いはずだ」
そう私を導く手。
固く繋がれた手、私を守りたいという優しい手で。
「私は、行かない」
私が拒絶しなければならない手だった。
破顔し、どうしてと焦る彼は必死だった。
私に理解してもらえるよう、しょうがない、仕方がないんだの言葉を繰り返す。