治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
たまらず、話す彼の頬を手のひらで叩いた。
それでも彼は離してはくれない。
「どうしてっ。アリスちゃんをこれ以上、悲しませるんですか!あの子の生い立ちを――そんな不幸を知りながら、どうして助けようとしないのっ」
言った瞬間、強く腕を握られて引かれた。
彼の体にぶつかるようにして当たる。
上を見れば、彼の顔。
ただその顔は、悲しくも厳しくきつい表情で。
「分からないか、ユリウス……!俺は“それら”を知ったうえで、君を選ぶんだ。
あの子が可哀想だと、これから先、幸せな未来を与えたいと俺だって願う。助けたいと君と同じ気持ちだって持っているが、そこに君という犠牲がつくなら俺はもう省みない。
アリスよりも、君が大事なんだよ、俺は……!君が無事ならそれでいいっ。小さな命など構わず、大きな不幸を抱えた命だって捨てられる。
千の命が助けを求めても、俺は君が犠牲となるならば自ら全てを焼き払うだろう。
分かってくれ、ユリウス……。頼むから、俺をもう困らせないでくれ。君を失うのは想像するだけでも痛いの、に……」