治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
ラグナロク様の近寄りがたい印象が一気になくなった気がした。
心根から、私をもてなそうというのが言葉だけでなく、顔からも分かる。
「は、はい。嬉しいです」
三回も頷いて言ってみせれば、では早速とラグナロク様は、テーブル上にあったガラスのベルを鳴らした。
お金持ちが使用人を呼ぶときに使いそうなベルは。
「お呼びでしょうか」
「ただいま参りました」
二人の白い影を呼び出した。
思わず下がる。
どこから来たのか、いつの間にかというスピードでそこには二人の男がいた。
銀髪の髪に、白いタキシード。
瓜二つの顔をした彼らは双子か、現れるなりにお辞儀をしていた。
「客人だ、カップと椅子を用意してもらおうか。娘、何か飲みたいものはあるかえ?
紅茶の類ならば、何でももてなすが」
「い、いえ、なんでもいいです」
「そうか。なら、余と同じので良かろう。イーリアの葉と言ってな、百年に一度しか生えぬ葉だ。
まずいということはあるまい。茶菓子は何が良い。甘いものは好きかえ?」