治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「………ぅ」


治らない、治せないわけじゃないけど、分からなかった。


そもそも、私はどうして治せると思ったんだろう。


分からない、分からなかった、のに、治せると思ったから、手を美人さんに向けている。


「無理だ、ユーリ。“そんな頭”では魔術は使えんぞ。寝とけ、余に構わず。混乱したまま起き続けていると、ずっとそのままだ。嫌だろう?」


「………」


どうやるんだっけ。できたはず、あれ、できるのに。私なら、何でも治せるのに。


「…………」


「ユリウス、やめるんだ。無理をしていると後遺症が残るよ、ほら」


脇に誰かの腕が通されて体が立ち上がろうとするが、まだ終わってないとイヤイヤをする。


掴まれた体を揺さぶる。そんなことをやっていれば、寝転んでしまった。


また座る姿勢に戻ろうにも、体が無くなっちゃたみたいに戻れない。


「その男の言うとおりだ、ユーリ。そのまま目を閉じろ。修復中の脳を無理に起こすものではないぞ。……ユーリ?」


寝転んで、美人さんとお揃いになった。


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