治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
焚き火の上、夜を見る。
「赤い星……。綺麗ですね」
届かないと知っているのに、手を伸ばしてみた。
そんなおかしなことをし続ける私を彼は不思議な眼差しで見るが、やがて微笑を浮かべて私の手に自分の手を重ねた。
「北星は方角を知るために必要なものだ。昔、コンパスがない時なんか航海士は決まってあの星を探す。
奇跡星なんて別名もあるな」
重なった手が、私の人差し指を上げた。
赤い星をさしたそれが移動して、隣――光輝きが大きな星へと変わる。
「あれを中心にして、女神座というのができるんだ。大きな星は、アストラの涙と言われていて。涙を流したのは、その下にある恋人に近づけないからという昔話があるらしい」
指が下に動かされる。
四つなり星が並んだ形が、彼の言うアストラの恋人なんだろう。