治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


しゃがむような――下にあるものを取る動作をしたかと思えば。



「死ね、このハエどもが!」



歯っかけに、薪が当たった。


彼の投擲。
顔面めがけたものだから、気のせいか歯っかけの口から白い何かが飛んだような。


どれほどの剛速球だったのか、餌食となった歯っかけは起き上がってこない。


近場にいた男が倒れた歯っかけを揺らしても起きないとなれば、気絶したらしい。


ゲスな笑いが止む。
一人がやられただけでも、攻めるあちらにしては黙り込むには良い驚愕。


夜にまた静けさがくると思えば。


「ハエの分際で、彼女に近づくとは……っ、最悪だ。虫酸が走る!」


彼の憎悪に満ち満ちた声が、夜を通る。


男たちにも聞こえたのか、今の奴らの目線は全員が彼に向き。もちろん私だって、その横顔に向く。


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