TeFU TeFU ~蝶の媚薬~
姐さんは手を顎に置いて、何か考えて事をしている。
「利つの櫛って、茜色のやつか?」
うん、と答えると竹櫛を私に返した。
その櫛は女将さんが用意したやつじゃねえ…お前の母親のもんだ。と..
姐さんが竹櫛を指差す部分に目を落とすと、私の名前と幼い頃母親がよく書いてくれた蝶が彫られていたのだ。
「よくお聞き…
利つはね、両親も兄弟もいない。
さらに聞いた話しじゃ、ここに来たのは母親が目の前で自害し錯乱状態のあの子の保護..だと」
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