【長編】唇に噛みついて


「どうせ遅刻なんだろ?だったら休んじゃえよ」


そう言いながらあたしのおでこにキスする。
そして覆いかぶさるようにあたしの上に跨ると、あたしを意地悪な笑みを浮かべて見下ろす。


「……2回戦……しちゃおうぜ」


ゆっくりと近づく零の顔。
って……!!


「待ったぁ!!」


あたしは思い切り零の顔を押しのけた。
すると零は不機嫌そうにあたしを睨み返す。


「休める訳ないでしょ!」


そう言って零から離れると、零はつまらなそうに枕を抱きしめた。


「ちぇ……つまんな」


ムスッとしている零を見ながらもあたしはガバッと起き上がる。
それと同時に裸である事に気づいて、バッと布団で体を隠す。
その姿を見ていた零は腕枕しながらクスクス笑う。
それに気づいてキッと零を睨むと、シーツを零の顔目掛けて投げつけた。
シーツは見事に零の顔に命中して、それを確認するとあたしは口を開いた。


「着替えるから絶対見ないでね!」


「は?別にいいじゃん。何今更恥ずかしがってんの」


シーツをゆっくりと取りながら答える零。
それを睨むと、あたしは強い口調で言う。


「絶対見ないで」

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