からっぽな街
ようやくパンを二つ選んで、ユウの待つ席に座る頃には、すっかり一つ目のパンを食べ終わっていた。
「おっそーい。私、パン一つ食べ終わっちゃたよ。」
「ごめんね。どれもおいしそうで迷っちゃって。」
優柔不断なハナは、食事に出かけると、いつもメニューを決めるのが一番最後になる。
迷いすぎるのだ。あれもいいな。これもいいな。と、ウロウロしている。最初に目に入ったものに決めればいいのに。
いつまでも、ダラダラとしているから、決まらないのだ。
「うふふ。あんなに迷ってたのに、で、結局それなんだ。」
「うん。」
申し訳なさそうに、太く短い眉を下げて笑うハナのプレートには、大好物のくるみレーズンと、ウインナーパンが乗っていた。
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