Magical☆Player

女王と皇帝

*女王と皇帝*


「ここからが高等部の敷地になる」

「え?さっきいた中等部ってどこだったっけ」

「あっちだ」



試験も終わり、だんだんじめじめしてきた。

そろそろ梅雨前線がやってくる頃だろうか。
空は心なしかどんよりと暗い。



私は今日、緑風の校内見学に来ている。
他の生徒会メンバーは他学校に1人ずつ行っている。



他学校に入るなんて滅多にないから楽しい!
のだけれど…



「広くて分からなくなってきたぁ…」



私はメモをする手を止めた。


とにかく広い、広い、広い。
文化祭で使えそうな施設見学、ということだったけれどメモしてもしても間に合わないぐらい。

溜息をつきながらシャープペンをカチカチしている私は



「女王様?」

「は?」



私は目の前にいる緑風の王様にそう呼ばれた。



「お前、華の女王って呼ばれてるんだろ、しっかりしろよ」

「…ほっといてよ」

「そういう顔もかわいいじゃねぇの」

「だーからほっといてよ!」



さっきからこんな感じ。
ずっと私のことからかってくるんだから。



でもこの人、ただのいけ好かないボンボンだと思ってたけど、そういうわけでもないみたい。

口ではからかいながらもメモ作り手伝ってくれたり、あの冷めた顔じゃなく本気で笑ったり。
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