Magical☆Player
「だいたい、なんで私緑風担当なんだろう・・・」

「俺様の指名だ、光栄に思え」

「誰が俺様よ・・・」

「俺様は俺様だ」



澄まして歩く乙坂。

しかし口で言うほどの実力が、実際にある。
私のことを“華の女王”と呼んだ彼が“皇帝”と呼ばれているのは、緑風生徒会役員の花に限ったことではないことを最近知った。



成績。
仕事の処理能力。
容姿。
身体能力。

何から何まで申し分のない彼。

そして、何よりも学園全体をまとめあげる支配力。



「乙坂さん!こんにちは!」



何から何まで完璧な男の横顔を眺めていると、正面からテニスラケットを持ったジャージ姿の男子学生が走り寄ってきた。

今日は日曜日だけれど、練習があるのだろう。



「あぁ、こんにちは」



部員はラケットを持つ手にぎゅっと力を入れて、自分より遥かに身長の高い乙坂を見上げるように、目をきらきらさせていった。



「一昨日は本当におめでとうございます!個人的にどうしても言いたくて。さすが乙坂さんです!」

「部員全員の協力があってこその結果だった」



「こんにちは」



私は乙坂の背後から顔を出して、テニス部員に会釈した。



「あ!星華女子の華雛さんですね!」

「えぇ」

「お会いできて嬉しいです!」


「こいつはな」



乙坂がテニス部員に目でやった。



「テニス部員の中学3年、泰田春仁だ。一昨日は地区大会で我が緑風は」

「優勝したんです!都大会出場です!」
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