Magical☆Player
「さすがね、おめでとう」

「ま、緑風なら当たり前だな」



乙坂が腕を組んでふん、と言った。

一昨日、まだ星華女子は試験中だったけれど、地区大会の決勝があって、緑風は相手の学校にストレート勝ちした、と噂では聞いていた。



「それに、乙坂さん、僕の名前・・・」

「お前、この前のランキング選なかなかいいせん行ってたヤツだろ?」

「覚えてくださるなんて・・・」

「あとは自分のスイング、もう一度最初から見直してみろ。もっとよくなるはずだ。今度見てやる」

「ありがとうございます!」

「レギュラー狙ってこいよ」

「はいっ!」



すっかり感激しきったテニス部員はラケットを抱えてそのままテニスコートの方へ戻っていったようだった。
それを2人でしばらく見送った。
彼は、テニスコートにいる仲間に羨ましそうに小突かれているように見えた。



「尊敬、されてるんだね」



その様子を遠目に見ながら私は言った。



「当たり前だ」



予想通りの答え。



「部員、うちの管弦学部より多いって聞くけど、何人いるの?」

「中・高会わせると250名だな」

「に・・・にひゃくごじゅう!?」

「あぁ、ちなみに俺は全員顔と名前が一致する」

「それだけまとめあげるの大変でしょう、それに生徒会長だし・・・結構重圧じゃない?」



最後に小声で付け加えた一言は、試しだった。
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