隣の先輩
そんな親に聞かれたら、説教をされそうなことを考えながら、扉を開けた。
教室に人影を見つける。
そこにいたのは森谷君だった。でも、机に顔を伏せていて、何かあったんじゃないかと思えてきた。
「どうしたの?」
私は森谷君に話しかける。
机に伏せていた森谷君がゆっくりと顔をあげる。
その顔を見て、余計な心配をしていたということに気づくのには時間はかからなかった。
「寝てたの?」
「挨拶して、その後の記憶がなくてさ」
先輩みたい。先輩も電車の中で一度、起きて私にもたれかかってきたことはすっかり忘れているみたいだった。