隣の先輩

「私こそごめんなさい」


 そのとき、彼女の指先が私の制服の腕をつかんだ。突然、腕をつかまれ、びっくりする。


「ここだと通行の妨げになるから、向こうでお話しましょう」


 その言葉に我に返る。確かに自販機の立ち並ぶこの場所は人通りが多く邪魔になる。

 通路の端まで来ると彼女は肩をすくめていた。


「気にしないで。誰にでもこういうことってあると思うから」


 嫌な顔一つせずに笑顔でそう言っていた。


 すごく素敵な人だと素直に思える人だった。


 髪の毛は天使の輪が見えるほど艶やかで、その髪の毛の下から覗く肌は透明感に溢れていた。



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