隣の先輩
「じゃ、約束ですね」


 そう言ったのは私によけいな気を使わせないためなんだって分かっていた。


 彼は人の扱いに慣れているというか、人の気持ちがよく分かるタイプなんじゃないかって気がした。


「風邪引かないようにしてくださいね」


 私のそんな言葉に、依田先輩は手をあげて返事をすると帰って行った。


 私は家の前まで来ると、なんとなく横を見た。


 あのとき西原先輩に声をかけて迷惑ではなかったのか、その答えはやっぱり分からなかった。


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