隣の先輩
 でも、彼女は私なんかとは比べ物にならないほど上手だった。


 彼女が負けた相手も別に強いわけではなく、次の試合で咲にあっさりと

負けていた。


 だから余計にどうしたの?と聞かれていたみたいだった。


 学校から帰るとき、咲がぽつりと口を開いていた。


「宮脇先輩、手を気にしているみたいに見えたんだけど」

「手?」


 愛理はその言葉に眉をひそめる。


「でも、朝は普通じゃなかった?」


「だよね。気のせいかな?」


 手?



 そのとき、思い出したのが私を庇ったとき。


 もしかすると、あのときに手を痛めたんじゃないかってこと。
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