隣の先輩

 裕樹は私を見ると「あ」と声を出す。


「今、起きたんだ」

「裕樹」


 そうじゃなくて。何で先輩がここにいるのかってことが知りたいんだけど、さすがにここでは聞けなかった。

 裕樹をどうやって私の部屋に連れて行って問い詰めようか考えていたとき、冷めた声が響く。


「もうお昼だから服でも着たら?」


 その言葉で我に返る。私は視線を自分の着ているものに向けると、そのまま部屋に戻った。


 そして、部屋にある鏡に目を通す。


 そこにはいつもの薄いブルーのパジャマを着て、髪の毛がぼさぼさの状態の私の姿があった。


 起きたまま部屋の外に出たわけで、裕樹の言ったように着替えもしていない。


 いつもの調子で外に出るんじゃなかった。


 短パンにシャツなんて格好で眠っていなくてよかったけど、それでも恥ずかしいことには変わりない。


 裕樹だって先輩を連れてくるなら前もって言ってくれればいいのに。


 私はクローゼットを開けて洋服を探す。

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