隣の先輩
 なんとなく、私が何を企んでいるかばれてしまったような気がしなくもない。


 私は母親の言葉に甘えることに決めた。



 先輩と初めて出会った日に通った道沿いに着物などを扱っているお店がある。


 そこで私は髪飾りを買うことに決めた。


 可愛い髪飾りを売っているのを見たからだ。

 お店の中に入って、その品物を探そうとしたとき、いつもの場所に目的の物が見当たらないのに気づいた。


 私は念のため、お店の人に聞いてみる。


 少し前に売れてしまったとのことだった。


 在庫もないらしく、ないものねだりをしても仕方ないので、諦めることにした。


 家に帰ろうとしたとお店の外に出たときに、目の前に人がいるのに気づく。


 同時に、聞く人を惹きつけるような声が響いていた。


「偶然だね」


 彼女はジーンズに黒のシャツという本当にシンプルな格好だったが、その雰囲気のせいなのか大人っぽく見える。
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