隣の先輩
第22章 花火大会

 早速、浴衣を取り出し、体に当ててみる。


 買ったときに着ているから、サイズが合わないことはない。草履も取り出す。


 これで今年買った品は全部だった。


 でも、そのとき、あることに気づいた。


 浴衣を着ている写真なんかを見ると、可愛い髪飾りなどをつけていたりする。


 でも、私は何も持っていない。


 肩の下まで伸びる髪は少々のアレンジには対応できると思う。


 私はリビングまで行くと、母親に呼びかけた。

「髪飾り持ってない? 浴衣に使えそうなの」

「もしかして今日の花火大会に行くの?」

「先輩と行く」


 私の言葉を聞いたからか、母親は少し笑っていた。


「それなら自分が好きなのを買って来たら?」


「でも、家にあるならそれでいいよ」

「別に高い物でもないからいいわよ」
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