隣の先輩
 私はベランダに置いていたサンダルを履き、その花火を眺めていた。

 私と先輩の家の間に敷居はあるけど、

光の漏れ方から先輩の部屋には電気がついていないんだってことが分かった。


 まだ帰っていないのは当たり前だった。


 私は先輩より先に帰ってきたし、先輩が私が行かないからといって家に帰ってくるとも限らない。


 また、空に明るいものが広がる。



 私は怖かったんだ。


 先輩が私のことを妹というか、子供としてしか見ていないのを知っていたから。


 あんなに素敵な人とつきあっていた人が、私のことを特別だって見てくれるわけがないと分かっていたから。



 もちろん、先輩自身と私がつりあうわけがないことも知っていたから。



 宮脇先輩が西原先輩のことを好きだったと知ることで、諦めることができると思っていた。


 でも、そうしようとした私の行動は遅すぎたんだ。
< 359 / 671 >

この作品をシェア

pagetop