隣の先輩
 その声に反応するように顔を上げると、背後に背の高い男の人が立っていた。


 黒髪に、それより少し薄く感じる茶色の瞳。その瞳には鋭さはなく、優しい印象を受ける。


整った顔立ちは一瞬で心を引き寄せる。


 彼が問いかけてくれたことも忘れ、思わず彼に見入っていた。


その綺麗な顔立ちが一瞬で歪む。そのことで我に返り、目を逸らしていた。


 変に思われたのかもしれないと思ったとき、穏やかな声が届く。


「道に迷っているのかなと思ったので。違っていたら気にしないでください」


 彼が変な顔をしたのはそういう意味だったのだと気付く。


そんな彼はまだ戸惑いを隠せないような表情を浮かべていた。


 心を落ち着かせると、さっきまで考えていた言葉を彼に伝えることにした。
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