隣の先輩
 早く来てほしいという願いが通じたのか、すぐにエレベーターがやってきて乗り込んだ。


 家を出るとき、先輩に会って変な態度を取らないか、気にしていたが、そんなことを気にする間もなく、マンションの外に出ることにした。


 先輩は特に予定もないのか、今日家にいるみたいだった。


 マンションを出て歩くと、首の辺りがいつもより涼しいのに気づく。


 そこに手をあて、いつもしているマフラーを忘れてしまったことに気づく。


 でも、家に帰るのも面倒だったので、そのまま出かけることにした。


 近くのお店をなんとなく覗き歩を進める。



 街角を飾るオーナメントは今日、街中が騒がしくなる日であることを告げている気がした。



 時折、恋人同士なのか親しそうな男女が一緒に歩いているのを見かける。


 別に恋人同士で過ごさないといけないと思っているわけでもなかった。


 でも、先輩とそんな風に歩けたら楽しいだろうなと思ってしまっていた。


 別にクリスマスとか、誕生日とかそうしたことはどうでもよかった気がする。


 時折吹きしきる風のせいか、店頭を覗いてもいつものように心惹かれることはなかった。


 ただ、眺めるだけを繰り返す。


 そんな感じで歩いていくと、あっという間にお店に到着していた。
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