隣の先輩
 先輩はいつも通りの顔をしていた。


 先輩には意味の分からない話かもしれない。


 私が一方的に冷たい態度を取っていただけだったからだ。


「ま、よかった」


 愛理はそう言うと、笑顔を浮かべる。


 私たちは咲の到着を待って、初詣に行くことにした。



 この辺りではここで初詣をする人が多いのか、神社の中は人で溢れていた。


 着物を着ている人を時折見かけたが、多くの人が普段着のまま来ているという感じだった。


 三日だから、もし一日に来ていたらもっと人が多かったかもしれない。


「後は二人で行ってきたら?」


 愛理はそう言うと、私の肩を叩く。


 私は依田先輩と話をしている西原先輩をチラッと見る。


 西原先輩に愛理との話を聞かれなくてほっとする。


 私は愛理に気になったことを聞いてみることにした。


 今なら先輩に気づかれずに話ができると思ったからだ。


「もしかして、先輩を呼んだのって」


「真由と先輩が話をしていなかったから。でも、おせっかいだったかな」

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