隣の先輩
「賢がどうしても来てくれって言うからさ。なんか妹から呼ばれたんだってさ」


 妹って愛理のことだよね。


「愛理? 私も愛理と行くんですよ」


 先輩は不思議そうに首をかしげていた。


 愛理が誘った中に先輩もいるってことなのかな。


 でも、愛理と西原先輩は話はするけど、とりわけ仲がいいわけでもなかった。


 どうしてなんだろう。

◇◇

 私は西原先輩と待ち合わせ場所になっている愛理の家に行くことにした。


 愛理の家に来たのは夏休み以来。


 そういえば、あのとき先輩に抱きしめられたんだっけ。


 そんなことを思い出し、ちょっぴり懐かしかった。


 チャイムを鳴らすと、愛理が出てきた。その後ろには依田先輩の姿を見つける。


「一緒に来たの?」


 愛理は驚いたような顔をしていた。


「だから気にしなくていいと言ったのに」


 そう言ったのは依田先輩。


「だって、まさか二人が仲直りしているとは思わなかったから。知っていたの?」


「知らなかったけど、そういう気がしたからさ」


 二人の会話の主体になっているのは私と先輩のことみたいだった。


 私は先輩を見る。
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