隣の先輩

 どうせ二時間後には制服を着なくてはいけないんだから、制服を着ておけば一石二鳥だと思ったから。


 制服を着ると、家の外に出た。そのひんやりとした空気に思わず肩を抱く。


 もう春だけど、ついこの前まで冬だったからだろう。


 まだ朝方は寒い日が多い。


 エレベーターまで行くと、下に向かう矢印を押す。


 ランプの点す数字が一つずつ増えてくる。


 そして、ドアが開いたときだった。


 私が来た方向から少し高い音が聞こえてきた。


 何となく目を向けると思わずその場で固まってしまっていた。


「西原先輩」


 そのとき、エレベータが開く。


 私は慌てて中に入ると「開」のボタンを押した。
< 70 / 671 >

この作品をシェア

pagetop