僕 の 愛 し い 人 [ホラー]
桜が産まれて1年半が経ったある日

『なあ、百合子。
子供もう一人ぐらい欲しいな。』

『そうね。
次は男の子がいいわ!』

『男で花の名前をつけるのは難しいぞ?』

実は笑いながら百合子に言った。

『何が何でも花の名前がいいのよ!
だってあなたは"実"だしあたしは"百合子"よ?
花が実るみたいでいいじゃない。
だから"桜"だしね。
それに男の子でも"蓮"とかあるじゃない』

百合子はニコニコしながら名前の話しをしていた。

幸せそうに話す二人を邪魔するかのように電話がけたたましく鳴る。

その時だった。

悪夢が始まったのは。



小さかった桜はこの時のことを覚えていないが実ははっきりと

鮮明に覚えている。

あの日のことを。
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